TO エルフ
元気ですか?
君は急に我が家に来てすぐ仲良くなってくれたよね。私ね、エルフがいなくなって、何回も思い返して涙を流した。何回もごめんなさいってあやまった。
ある日、空を見上げた。色んな形の雲がたくさん浮かんでた。そこにエルフがいたように思ったんだ。走ってるエルフが…
偶然そんな形になってただけかもしれないけど、私はエルフって思うことにしたの。うれしくってうれしくって… それ以来私は空が好きになったよ。もう一度、会えるといいな。
ありがとう。FROM 沙莉
私は現在15歳。エルフがいなくなって大分経った。母にあの時の状況を詳しく教えてもらった。
あの朝、兄が散歩に行っていて、家の近くの畑にあるキャベツの虫をとっていたそうだ。その時、エルフは自らリードから抜けて、道路に飛び出した。そこへ、2台の大型トラックが走ってきて、2台ともにはねられ、一枚のビニール袋のように宙を舞ったようだったらしい……
私はもう泣かないって決めてたのに、涙は出てきて布団にもぐり込んだ。
そんな夜、母が話してくれた。
『名前をつける時ってね、花の名前とかはあんまりよくないらしいよ。花は散るって言うけんね。エルフっていうのは妖精っていう意味があるらしいよ。』
エルフの名前を考えたのは私。少し責任を感じたけど、いつもエルフは名前を呼ぶと、尻尾を振って笑いながら走ってくる。そんなことでくよくよなんかしてられないよね。
私は晴れた青空が大好きになった。
いろんな顔を見せてくれる空が大好き。
今日も空には真っ白な雲が無数に広がっている………
END