その後大名会議を終え
少年とともに
屋敷に帰った大名は
少年の母親も呼び寄せ
屋敷に住まわせた
少年は手紙配達の
仕事を任されたが
その仕事以外にも
せっせと働いている
「……と、以上が今回の忍務の報告です」
「ご苦労だったな」
忍務内容の書かれた紙を 響が忍頭にわたした
そしてパラパラと
近くにあった書類を
めくって次の忍務の
指令を出した
「どうだ白冬?小隊は」
顔の前で手を組み
楽しそうに聞いてきた
四人の視線が集まる
どうもなにも………
「問題無いです」
沢山話したわけでも
ともに死線を
越えたわけでもない
一緒に忍務をしただけだ
「そうか」
まぁ仕方ない
という感じで忍頭も
話を終えた
「白冬」
忍地に向かう途中
響が話しかけてきた
「白冬、お前はどこかの一族なのか?」
唐突な質問だった
「…」
「あ、すまない急に。ただ、さっきみたお前の体術が見たことのないものだったから、そう思ったんだ」
「…たしかに…私にはある一族の血が流れています。ですがそれと私の体術は関係ありません」
「そうなのか」
「でも白冬ちゃんの体術、すっごく綺麗だったよね」と華菜が
ひょこっと顔を出した
「まるで舞ってるみたいだったよ」
「ああ、一瞬見とれちまったぜ」
ユウキも入ってきた
「ねぇ、白冬ちゃんに体術を教えてくれた人ってどんな人なの?」
「なんでそんなことを聞くんですか?」
「だって白冬ちゃんの体術がなんか白冬ちゃんのために編み出されたもののように思えたから」
華菜はなかなか
勘が鋭いようだ
「もし白冬ちゃんのためにそれを考え出したならその人はとっても白冬ちゃんが大好きだったんじゃないかなって」
勘がよすぎる………
「わかんねぇ〜じゃん。もしかしたら体術のオーダーメイドの達人かもしれないじゃん!!!」
「だから聞いてるの!!!」
…私にこの体術を
教えてくれた人は…
「…南沢 龍という人です」「え…?」
華菜が驚いていた
他の二人も立ち止まって 振り返っている
「龍…ってあの龍さん?!」
華菜が声を張り上げた
「知っているのですか?」
「知っているも何も、この国の英雄と呼ばれる人の一人じゃない!!!」