テレビドラマに憧れてなった、刑事という職業。
華やかな職業と思いきや、結構体力勝負で地道な仕事が多い。
そして新人の私にいたっては雑用ばかり。
しかもたまに仕事にかりだされても「女」っていうだけでバカにされる。
「おい、佐原ー!コーヒーまだか!」
私の四つ上の先輩の三木
葵。男なのに葵。
「はい、はい、葵ちゃん。朝からそんな大きな声ださないでくださいよー。私、今朝仕事あがって寝てないんスからね。今にもブッ倒れそうなんだから」
「そんなん、俺も一緒だ。…ってかてめー葵ちゃん言うなっつてんだろーが!」私はそんな葵ちゃんを無視して買ってきた缶をヤツに向かい、投げる。
「おー。サンキュ。…ってこれ紅茶じゃん!俺が頼んだのコーヒー!全然違うじゃん!何だよ、テメー、ケンカ売ってんのか」
ブツクサ言いながらも葵ちゃんは紅茶を飲み干す。
私はその様子をニコニコしながら見つめる。
そんな私を見て葵ちゃんは訝しげな顔をする。
「んだよ。何ニヤニヤしてんだよ。気持ちわりー。今度紅茶買ってきたら殺すかんな」
私は「ハイハイ」と軽く受け流す。
葵ちゃんのその台詞はもう聞き飽きた。
―私はいつも間違えたフリをしてるんだからね?
続く