アタシと一緒にいてくれる…?
アタシを連れて、どこか遠くに行きましょう。
マトモに制服を着ているのが辛い、一学期の終業式。
明日から休みだと思うと気が緩む。
僕の名前は長澤恭平。
特に顔が良いわけでもなく、成績は中の下。女子の友達は数少ない。
かといって、付き合ったことがないわけでもない。しかし、すぐ別れた。
振られた…
今は中3なのでそんな暇ない。
とにかく受験だ!
と、開き直ってみる。
終業式は退屈だった。
校長先生のお決まりな挨拶、夏休みの注意事項…
そして一番厄介なのは夏休みの課題…!!
今年は三年間の復習をしなければならない。別にやらなくてもイイ宿題なのだが、あとが怖いのでやるしかない。
先生の話が終わると教室に戻った。
自由時間と言うことでクラスメートと騒いでいると、一人が悪ノリして、窓を割ってしまった。
怒られた。
何故か僕まで怒られた。
クラス委員長だからだと…。
まぁイイや。
説教が終わったのは正午を何分か過ぎた頃だった。
僕の親友、藤岡疾風は職員室の前で待っていてくれていた。
汗が噴水のように吹き出している…
「悪いな」
「いや、イイよ。勝手にお前が暇だと思って待ってただけだし。マクド行く?」
「おぉ」
僕達は他愛のナイことをグチグチ言いながら駅前のマクドナルドに向かった。
マクドナルドは学生でいっぱいだ。
大半の中学校が今日終業式だからか…。失敗したな。
「何頼む?」
周りを眺めるのをやめ、奇跡的に空いていた席に腰をかける。
「あ―…。マックチキンのセットとアップルパイで。ジュースはコーラな!!」
「女子か!!」
「何がだよ…」
疾風は俺の頭を叩いて、店員に頼みに行った。
あいつはよく分からん。
そう呟きながら携帯をいじくった時、肩をふいに叩かれた。
振り向くとそこには…
「オッス!!久しぶり♪」
前の彼女、月野千夏と、その双子の弟聡が居た。
僕はどう答えたらいいか分からず、軽く会釈を返す。
前カノの月野は幼稚園からの付き合いで、親も仲が良い。
二人は月野の母親と聡の父親が再婚して姉弟になった。
なので、小学三年生ぐらいまでは、聡の存在すら知らなかった。義理なので顔は全然似ていない。
月野は童顔で幼い感じだが、聡はカッコよく、大人びて見える。
「一人??」
「いや、疾風と…」
僕は人に埋もれている疾風を指差す。