「はぁ〜…。」
私は屋上に逃げこんでいた。地面に大の字に寝転び、青い空を見つめる。
―少し話を聞いてくれますか?
私はキレイな空に向かって問いかける。
―私、葵ちゃんがいなかったらこの仕事続いてなかったんじゃないかなって思うんです。
怒ってばっかのあの人だけど私が仕事でミスした時はいつも私の大好きな紅茶を買ってきてくれるんです。いつもは、『お前が買いに行け』っていうくせに…。そういう不器用な優しさとか、普段見せない真剣な顔で仕事してる時とか、本当は一番仲間思いのところとか…。
いろんな事、知ってくうちに「あぁ、好きだなぁ」って実感していくんです。
でも、葵ちゃんには“大切な人”がいるんです。
職場の先輩が教えてくれました。葵ちゃんの高校の同級生で今の葵ちゃんの奥さん。体が弱くて入退院を繰り返しているらしいです。奥さんのために葵ちゃんは必死になって働いているんです。
ある日、葵ちゃんの手帳にはさんである写真をみてしまいました。
それは、“葵ちゃんと奥さん”が写っている写真でした。
すごく綺麗な人の隣に今まで見た事ないくらい優しく微笑む葵ちゃんがいました。
―あ、敵わないな
って素直に思いました。
続く