可愛いあのコ

ちゃき  2007-09-16投稿
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「可愛いなぁ…」

ガラスごしに見るあのコはとても愛らしい。

くりくりとした瞳、長い睫毛、すらりとした手足。

どれをとっても、すっげぇ可愛い。

もう3ヶ月も前からここに通っているのに、一向に思いは伝わらない。

「はぁ…所詮無理だよなぁ」

彼女が欲しい。何もしなければ手に入らないと解っているが、

「貯金3万しかないんだよなぁ〜」

学生にはお金がない。

「すみませーん」

ひらりとスカートをなびかせて、一人の女子高生らしき人物が店内に入る。

すると、ガラスごしにいたあのコは店員と共に消えてしまった。

「まさか…」

俺は急いで店内に入る。

するとあのコは女子高生に抱っこされていた。

「わぁー店長、売らないでって言ったのにッ!!」

抱っこされている茶色い縮れ毛のトイプードルは、俺の声に驚いたようでキャンキャンと吠えた。

「だって君、3万円では売れないよ」

ペットショップの店長は苦笑いしながら言った。

「あのぉ…」

女子高生がおずおずと話し掛けてきた。

「うぅ…マロンちゃん」

涙ぐみながら女子高生を見ると…このコもマジで可愛いかった。

「あは、マロンちゃん?私もその名前付けようと思ってたの」

女子高生は笑顔で言う。

とたんに俺は胸がキュンとした。

「良かったらマロンちゃん見に来て下さい」

その場ですぐメルアド交換して、彼女たちを見送った。

「あー犬になりてぇ…」

あんなにマロンちゃんにご執心だったのに、一瞬で抱っこされるマロンちゃんになりたいと思うとは。

直ぐに携帯を取り出し、メールを打ち始める。

貯金の3万は彼女を遊びに誘い出す資金になるのだろう。





END

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