「そうかぁ?あまり自慢できる親父じゃないけどな。」
「それでも、俺にはうらやましかったんだ。俺も、あんな熱い親父になれるかな?」
「あんな親父にかよっ?サトシ、いきなりどうした?親父の話なんか。」
「俺も…親父なるんだよ。」
「はぁっ!?」
「リリが妊娠したんだ。」
サトシは少し目を赤くしていた。
「マジかよっ!学校は?リリちゃんはどう…」なぜか、聞いている俺が焦ってくる。
「産んでくれるって。学校は辞める。辞めて働くよ。俺は嬉しい反面、不安で仕方ない。俺にもリリにも父親が居なかったから…」
「大丈夫だよ!サトシならなれるよ!いい親父に!」
「…」
サトシは頷きながら泣いていた。なぜか俺も泣けてきた。
ピリリリ♪
「もしもし。いや泣いてない…。今タカシに話しをしてた。うん…うん…わかった。」
「タカシ。今リリ公園来たらしいから、迎え行ってくる。」
サトシは電話を切り、涙を拭いて立ち上がった。
「タカシは待ってて」そういうとサトシは小走りで公園を下って行った。
『サトシが父親かぁ。』俺は、ずっとつるんで来た、連れが結婚するという現実に少し寂しい気持ちになった。
「タカシ君?」
俺はドキっとした。後ろから聞こえた声は、リリちゃんのおねぇさんだった。
「はっはい!」慌てて振り向く。
「あっ。やっぱりタカシ君だ♪こんにちは!」おねぇさんは、夕日に照らされて、一段と輝いて見えた。
「こんにちは!」
「隣座ってもいい?」
「どうぞ!いらっしゃい」また意味がわからない。