「うるせーよ!お前ら!何言ってるのか意味わかんねーよ!!」俺は、野次馬どもを、払いのけ、事故現場まで辿り着いた。邪魔なテープを手で退け、中に滑り込んだ。
「君待ちなさい!」
また何か聞こえた。
「ダメだ!入っちゃ!」
俺の体が、重くなり前に進めなくなった。
誰かが、俺の手、足、体を掴んでいる。
「どけよ!あいつを迎えに来ただけなんだって!来るのがおせーから、心配で来ただけだよ!あいつ親父に報告あるんだって!こんな雪の中じゃ風邪引くだろーが!わかんねーのか!俺の友達なんだっ!家族なんだよ!離せよ!頼むから離してくれよ!サトシぃお前も何か話してくれよ!起きろよ!そんな所で寝るなよ!サトシぃ!」
俺は、頭が真っ白になっていた。警察に、引きずられ、テープの外に出されたらしい。
俺の体は、まだ数人に押さえられてる様だ。
「かわいそうだね…」
「運悪かったよね。あの運転手…」
「悲惨だね…」
体が動かない。声が出ない。自分の意思が違う所をさ迷っている様だ。
「うわっ!凄くない!写メ撮ろうよ♪」
また俺の中で何かがキレた。
「テメーら何も感じないのかよ!かわいそうだっ!?運が悪い!?そんな言葉いらねーよ!写メ撮るだ!コラっ!テメーら全員ぶっ殺すぞ!」
一掃強く押さえられた。
「暴れるな!」
また誰かが叫んだ。
「殴らせろよ!そこの野次馬全員!」
俺の、拳が誰かに当たった。
「貴様ぁ!公務執行妨害で逮捕だ!」
もう、何がなんなのかわからなかった。
押さえつけられ、空から降る雪と寂しく転がる熊だけが、目に写った…。