「サトシぃ!カナエにも赤ちゃん出来たんだぜ。絶対俺の子は女の子だな♪」
「…」
「ははは、絶対にお前のガキとは釣り合わね〜よ。」
「…」
「でも、俺らの子供が結婚したら、面白くね〜?家族になるよな!」
「…」
「サトシ?どうしたんだよ?」
「…」
「シカトかよっ?サトシ?サトシぃ?」
「…トシ!おい!」
跳び起きた!体中が痛かった。
昨日の出来事が夢である事を祈った。
親父が迎えに来て、俺は警察署を後にした。
家に向かう途中。親父は事故現場を避け、裏道に進む。
「親父ぃ。サトシなんだって?」
親父がバックミラー越しに睨んでくるのがわかる。
それでも俺は、親父に問いかけた。
「だから、サトシなんだって?」
¨キィー¨と、もの凄い音で車が停まった。
「タカシ!いい加減にしろ!」
「親父こそ!隠すなよ!話せよ!」
俺の顔に、拳が飛んできた。しかし、その拳には、今までの威力はなく、とても弱々しかった。
「親父そんなんじゃ、目覚めねーよ。」
俺は、目から溢れ出した涙を拭いた。
親父の目も、誰かに殴られた様に腫れていた…。
家に着いて、始めに俺は携帯を充電した。
リリちゃんは、どうしてるのだろう?カナエは?あいつの赤ちゃんも、父親を持たない子になってしまった。
俺は、何をしてあげれるのだろう?そんな事ばかり考えてしまう。
俺は、携帯に電源を入れた。