俺は、カナエに電話をかけた。
「もしもし、タカシ大丈夫?タカシと別れた後、家に入って、リリと話してた。そしたら、リリの携帯に、サトシ君のおかぁさんから電話来て。リリが突然泣き出して、何を聞いても、泣いてばかりだったから、私が電話代わったの。サトシ君のおかぁさんも、話すのがやっとみたいで…。それから、タカシに電話したんだけど、まだ電源入ってなかったから…。家に電話して、サトシ君の事話たの。…タカシ元気出してね。」
電話の向こうからは、リリちゃんだろう。泣き声が聞こえた。カナエの声も、震えていた。
「カナエありがとう。」
俺も声が震えるのを必死に抑えて、声を絞り出した。
とても、リリちゃんに代わってもらう事は出来なかった。代わったところで、何を話せばいいのかも分からなかったからだ。
「また。かけるよ」
俺は、電話を切ると、居間に向かった。
親父とかぁちゃんは、テレビも点けずに、ボーとしていた。
「親父ぃ!かぁちゃんも聞いてくれ。昨日サトシが、家に来ようとしていたのは、自分の子供が産まれて、親父達に聞いて欲しかったからなんだ…。」
俺は、震える声を抑えて話続けた。
「あの日、サトシは親父だと思ってるって話しただろ。だから自分の親父に、孫の話をしたくて…。あいつの子供さぁ。男の子なんだ。たぶん大きくなったらサトシみたいに、イケメンになるんだぜ!親父も鼻が高いだろ!自分のせがれと、孫が親父よりカッコイイんだぜ…。血は、繋がってなくても、あいつは家族だからな…。」
親父は、頷きながら目を、赤くしている。かぁちゃんは、もう見ることも出来ないくらいに顔が、くしゃくしゃになっていた。
俺も、泣きながら続けた。
「それと、今話すのもタイミング的に可笑しいけど。カナエにも、赤ちゃんが出来た。俺も順番間違えたけど、カナエと子供は、俺が絶対に幸福にするから!」
親父は、泣きながら笑っていた。