『急にそんな事言われても…学校の問題もあるでしょ…』
『向こうには小学生の連れ子がいるんだ』
『あなたがおまえには渡さないって言ったのよ!』
『状況が変わったんだ。俺にも未来をくれ!』
会話の内容が聞こえて来なければ、一年前のごくありふれた日常の風景だ。
だが、今の二人はかつてそう呼んでいたお父さん、お母さんではなく、視線さえ合わそうとしない僕の分裂前の細胞達だ。
僕は中学二年で、どんな状況下でも感情を表さない技を習得してる。少なくとも同じ細胞で出来ているこの人達よりも…
『あいつはどうなるんだ!次はおまえがみてくれてもいいだろ!』
『…。』
息の詰まる沈黙…
僕は今、二度捨てられた…
生活していく術のない中学二年の僕…
僕の中でまた僕を殺した。
二人を恨んでなんかいない。
僕はただ、早く一人で生きていきたいだけ…
肉体までも僕を殺してしまわないうちに。