そんな沢田と小林課長のやりとりなど全く知らなかった俺は、一週間後に控えた社員旅行の日程調整に追われていた。
当日の夜までの自由時間をなるべく多くしろという声に応えるため、細かい日程を切り詰めていた。
「はぁ〜、もう無理だろう」
「すごいですね〜！さすが相沢さん！」
同僚の松下が感心して話しかけてきた。
「女子社員がとにかく自由に動きたいっていうから…ったく、あんな山奥くんだりで何がしたいんだか」
「あそこ湖が綺麗って有名ですよ」
俺は適当に松下を追い払い、溜まった仕事を片付けた。
「ただいま…」
「お帰りなさい！…疲れてます？」
「病み上がりでも仕事は待ってくれないから…でも来週の旅行の日程、自由時間多くしといたから。何すんだか知らんけどな」
すると沢田は呆れて奥に引っ込みながら話した。
「知らないんですか〜？あのオフィス３、４組くらい付き合ってる人たち居るんですよ？」
「半分近くデキてんのかよ！何を目的に旅行に行くのやら…」
しかし、俺はまだ自分がこの半分と変わりない状況になることをまだ知る由はなかった。
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