聖暦二百五年四方国境線地域、オルティナ領
「ふー。そろそろ休憩しません?きりもいいですし」
大きな溜め息をつき、細身の長剣を地面に突き立て、ミラ=エルヴィーは言った。
透き通った蒼眼に、鮮やかな蒼色をした長髪のミラは、見た目通りの清涼とした美しさと、純真な心を持つ美女だ。無骨な鎧に包まれていても、決して粗悪な雰囲気をミラは纏わない。
「そうだな。第二陣はこんなところか」
ミラより十メートル離れたところで、フィル=フィス・アリースは呟いた。
フィルはミラとは対照的に、赤眼の赤髪をしている。鎧により荘厳さはあるが、まだ若い。