ヤス#158
「頼もしいわ…でも、私なら大丈夫よ」
純子は懐からドスを出してヤスに見せた。
「母さん…そんな物を何で…」
「あら…いけない?いつも持ちあるいているわよ。それに…これも」
「拳銃!チャカじゃないか!ハハハ…逞しく生まれ変わったね」
「昔の私は違ったの?」「うん」
「どう違ったの?」
「うん。優しくて…おしとやかで…」
「嘘!」
「嘘じゃないさ…着いたよ。管理室にキーがあればいいんだけど…」
ヤスは管理室の窓ガラスを割った。身を乗りだすと壁に掛けられているキーをごっそりと掴んだ。
「キーが合う車を探そう!」
「ヤスは逞しいわね」
「ほら、また言った」
「あっ…うん…確かにヤスって言ったわね…ヤス…ヤス…」
「くそっ!なかなか合うキーが無いな…」
「ヤス…キーを貸しなさい」
「えっ?」
「キーを貸して」
「うん…分かるのかい?」
「アネゴよ…任せて」
純子はフロアを見渡すと鍵を一つ選んだ。そして、車に近づくと選んだキーを差し込んだ。カチャッという音がしてロックが解けた。
「開いたわ。ヤス、運転はできる?」
「免許は持ってないけれどね…運転はできるさ」
「もうっ!じゃあ、私が運転するわね。助手席に乗って」