DECEIT [発端] ?

etc.  2007-09-21投稿
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 車が到着したのは午前11時ジャスト。

 流石は一流ドライバーと言ったところか、毎日狂いなく予定の場所に予定の時刻で到着する。

 毎日がその繰り返しで今は慣れてしまい、もう驚かなくなっていた。

 着いても私は外に出ることは出来ない。

 四人のガードマンが車を取り囲み、辺りを確認する。

 この時間がじれったくて仕方がない。

 ようやく安全と判断した様で、一人のがたいの良いサングラスをした男が黒塗りの扉を開けた。

 「どうも」

 私は愛想無く言葉をかけると、男は似合わない笑顔で会釈をする。

 すでに空は雲っており、今にも雨が降り出しそうだった。

 すると一台赤いのスポーツカーが目の前に大きな音を出しながら急ブレーキをかけて止まる。

 私は驚いて、その場で動けなくなってしまっていた。

 エンジン音が切れると中から一人の凛々しい男性の姿。

 間違いない、正真正銘望様である。

 制服姿とは打って変わり、何とも言えないかっこよさ……。

 ペンギンが空を飛んでしまったかのような襲撃に、立ちくらみがする。

 「よ! 待った?」

 「そんな、待ったなんてこと……」

 あれ?っと思った方もいるかと思うが、いつもこんな感じ。

 「んじゃよかった! 突然で何だけど光はどこか行きたいとこあんの?」

 「望様となら何処でもいいよ……」

 「そう? んじゃそこのテラスでお茶でも飲みながら考えようぜ」

 もうひとつ言い忘れたことがある。

 お気づきの方もいらっしゃるだろうが高校生が何故、車に乗っているのかというところ。

 勿論、日本では車の免許は18歳以上からしか採れなし、公道も免許が無ければ走ることは許されない。

 しかし、公道でなければ走ることは可能である。

 今私たちがいるのは神宮寺家の御屋敷の中、東京ドーム24個分もの敷地面積をもつ大豪邸だ。

 神宮寺カンパニーの経済力を物語っている。

 池の辺のテラスには大理石が詰まれている。

 望様いわく、大自然をイメージしたそうだ。

 私には理解できないけれどね……。

 「さてと、これからどうしようか」

 二人は和やかな雰囲気の中に浸る事を楽しんでいた。



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