銃を受け取った男は私を上から睨みつけている。
背中にまた悪寒が走る。
『殺されるんだ……』
そう直感で感じた時、光の顔は先程の蒼白さとは一転して真っ赤になり、今にも泣き出しそうである。
すると思いもよらない事が起きた。
二本のライフルを渡されていたあの男が、私に向かってウィンクをしたのだ。
訳がわからず硬直してしまう。
「ご苦労さん」
プシュッという音が二回したかと思うと、二人の武装した男が地面に倒れ込んだ。
はっとして我に帰り上を見上げると、両手に先程渡されたライフルを持っているあの男の姿。
隣にいたもう一人のガードマンはいきなりの出来事に驚きを隠せない様子だ。
「な…… 貴様……」
「俺の特製サンドは上手かったか？」
ガードマンの顔が赤らみ始める。
するとその男は一度死んだように目を上に向け、そのまま足から崩れ落ちた。
訳がわからずまた硬直する。
「こちらＪ、ターゲット確保。繰り返す、ターゲットを確保した」
《……よくやった。直ちに処理班とＮを送る……》
トランシーバーのでの会話が聞こえてくる。
『……助かった……』
今度こそ、本当の安堵であろう。
「大丈夫ですか？」
「えぇ、ありがとう」
そう答えるのがやっとだった。
今気がついた事だが、息が異常に荒くなっている。
辺りには三人の男がグッタリ倒れているが、出血の様子はない。
すると一台のスポーツカーが二人の前に到着した。
いきなりドアが開いたかと思うと、先程のＪに中に押し込まれる。
中には大きなアタッシュケースが二つ置かれている。さらにはサイドにマシンガンが二本ずつかけられていた。
外車仕様らしい、右の助手席には大掛かりなパソコンが三台とイアホンマイクが接続されている。
左側の運転席に目をやったが、シートが邪魔で誰がいるのか分からない。
ただ確認出来た事は、男だということだけである。
隣にいるＪは座高が高く、頭が天井に食い込んでいる。
キョトンとしていると車は急発進し、衝撃で背もたれに頭をぶつける。
私を襲った三人を置いたまま……。
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