カツ、カツ、というメロの足音だけで、私の心拍数は上がる。もうすぐ扉を勢い良く開けるはず。
「バタンッ」
勢い良く閉め、私の顔を火傷のある横顔でチラッと確認だけして奥の椅子にドサッと座る。
余り話さない貴方は、こうして訪れては私の心と体を奪い、また消える。
その日も二人は、特に会話もなく体を求め合う。
椅子に座った貴方の前に向き合う形で、貴方にまたがる。
そして少し顔を傾けながら貴方の唇を奪う。
貴方の金色の髪を触りながら首筋に顔を埋める。
「お前、待てないのか」そう言いながら片方の口角を上げると、私を抱き上げ、逆に私を椅子に座らせた。
私の服は荒々しい手つきで剥ぎ取られていき、直ぐに愛撫が始まる。
私はそれに応えるように、声を出す。
メロは執拗に胸の愛撫を続けるから、私は直ぐに欲しくなってしまう。
「ねぇ…もう来て…」
メロは何も言わず、肘掛けに私の脚を乗せる
「まだ待てよ」そういって私の一番敏感な部分に愛撫しながら、下から私の顔をチラッと見る。
見られていると言う行為に、私は余計待てなくなる。
「すぐに欲しい…今すぐに…」私の言葉は懇願に変わる。
メロは最後に勢い良く吸い上げると、自身も裸になると、いきなり思い切り奥まで突き上げてきた。
私の足を椅子の背もたれの方に押し付け、強弱を付けながら私を絶頂へ導く。
その間も唇を塞がれ、私はメロに埋め尽くされる。何もかも貴方でいっぱいになる。
もう逃げられない貴方からは。
私は喘ぎながらメロの首に両手をかけ、ジワジワと締める。「こっ…こ…殺した…いくらい…」
私がそういった時、メロは深く深く突き上げて来て、私は登りつめそうになる。
熱い吐息を吐きながら
「殺したいなら…殺せ」そうメロが言って直ぐに私達二人は登りつめた。
ぐったりと二人、その姿勢のまま離れない。
静寂の余韻の中、思い出したようにフッと鼻で笑うメロ。
「殺したいのか俺を?」低い声で私の耳元で囁く。
「いつか…本当にそうするかも…」私は天井を見上げて答える。
そう多分、私はメロをいつか殺してしまう。
自分だけの物にするために。
貴方の存在が苦しい。
求めても求めても、足りない。
愛しても愛しても足りない。
なら、永遠に私だけの物に。
きっとその最後の時もメロは、小さく笑うだろう。