softball『ウチの3年間の記憶』

柴犬  2007-09-23投稿
閲覧数[472] 良い投票[0] 悪い投票[0]

5月中旬


「はぁ…」
ため息をついた。
理由は簡単。1年生は別メニューだからだ。
メニューは、アップ→キャッチボール→ベースランニングだけ。本当につまらなかった。でも、薫は違った。2年生顔負けするほどソフトがうまくて、今では1年生ながら2・3年生に混じって練習をしている。
いいなぁ…。
薫はすごいなぁと憧れた。だけど、それと同じくらい悔しく、憎かった。確かに薫はうまいし、実力があるからあっちにいる。頭ではわかっているのだ。でも心の奥では、なんであいつだけ!?なんでだよ!!って叫んでる自分がいる。
薫は嫌いじゃない。友達でいたい。だからこの気持ちは隠さなきゃいけないのだ。きついけど…。

「集合ぉ!!」
「はい!!」
秋さんに呼ばれ1年生は集合した。
「今日はここまでだから、1年生は片付けして」
「はい!」

セッセッセッ……

ウチは片付けるためにバットを持った。振りたい…!!強く思った。1年生はまだバットは使えない。危ないからだと先生は言う。使っていいのは、2・3年生、そして薫だけだ。

……ガサッ
バットをしまった。

部室に道具を片付けていると、「ゆぅ〜!」薫が来た。「なに?薫」
「あのさ!今日、守備で誉められたさ!」

ズキン……
胸が痛んだ。

「そうなんだ。良かったね」
「うん!」

……苦しい。薫は、ただ嬉しいからウチに言ってくるのだ。自慢してるわけじゃない。だから苦しい、憎い。堪えろウチ。堪えなきゃ駄目だ。
こうやって堪えなきゃ、おそらくウチはソフトを続けることはできないだろう…



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 柴犬 」さんの小説

もっと見る

スポーツの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ