「涙腺」 (3)

来希  2007-09-24投稿
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毎日が幻のようで

君がもうこの世にいないという現実を
どうしてもまだ受け入れることができない

何事もなかったかのようにひょっこり現れる気がする

そんな現実逃避を
何回も何回も
繰り返して

完全に俺は君と歩んだ道の上で

立ち止まっていた


そんなとき
彼女の母が家を訪ねてきた

白い袋をぶら下げて

「どうも」

恥ずかしそうに言った

部屋は散らかり放題散らかっていて
とてもお客さんを入れられる状態じゃなかったので

「外行きましょうか」

苦笑いしながら言った


彼女の母はとても静かだった

会いに来るにはそれなりの理由があるはず

そう思ったけど、なかなか聞けず
しばらく沈黙した空気が流れていた


道の隅の方でヒマワリが一輪咲いていた

彼女の母もそれに気づいたのか

「あの子みたいね・・」

そうしみじみと言った

「そうですね。彼女はホントにヒマワリが好きだったですから・・」

俺もその言葉に答えた


そんなゆったりとした時間が流れる中

ある公園の前で俺の足はぴたっと止まった

<続く>



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