怪〜KAI〜

あいじ  2007-09-24投稿
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座敷わらし?

「なにを…」
由良が思わず絶句する。つばめの口が三日月のようにそり上がり異様な気配が辺りに呻いた。
「由良先生、貴方は本当に素直で純真な子どものような人だ。だから一つの事を信じ込み、全てが見えなくなる」
つばめの瞳が由良を捉える。
「僕が…見落としていることがあるんですか?」
「私は貴方に云いましたよね。妖は人の『想い』だと、人が存在しなければ存在しえないと」
由良が頷く。
「座敷童なんかねぇ…いないんですよ。誰かの『想い』が創りだしたモノに過ぎないんです」
つばめの瞳が由良から離れ女将を食い入るように見つめる。「貴女ですよね…子供達を創ったの」
「まさか…」
女将がつばめに微笑みを返す。しかしその瞳には憤慨に似た動揺が含まれていたことを由良は見逃さなかった。
「人喰い柳…でしたっけ?貴女この話の結末を語っていませんよね、あの後どうなったんですか?それにあの柳…人喰いなんて異名がついているのにお札か社か…とにかく魔除けのようなモノが全くない。江戸時代ぐらいだったらその位の信仰はありますよ…何故ですか?」
女将は黙ったまま先程の表情を壊さずつばめを見ていた。
「答えられませんよねぇ…だってあの話、貴女が作ったものなんですから」
女将は何も答えない。
「私が聞いた話は『人喰い柳』ではなく、『人喰い宿』でした。ここに泊まると何故か人が消えるそうです…不思議ですねぇ…」
「それ…は…」
「それは?」
女将の表情が険しくなっていく。部屋の景色が歪んだような気がした。
「昔…この宿は旅人を殺して、その物品を奪うことで生計をたてていました…死体は全て柳の下に埋めていました」
「それで…?」
景色の歪みが激しくなった。女将が話しをするばする程、その歪みは広がっているように思えた。


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