予定通り、午後10時。 木戸は肩を上下に動かし深く、荒く息を吐き出す。 遅かったか――
男は体を前に倒す。それを後押しする様に風が後ろから吹き付ける。
彼は飛び降りた。
そして、一秒後、彼は地面にたたき付けられた。
場が騒然としている。目を塞ぐ者もいれば、ひたすら騒ぐ者もいた。
彼は死んでいた。いや、彼の人生はあの頃から死んでいたのかも知れない。
「木戸さん。」
その声で刑事の木戸は振り返った。そこにいたのは部下の阿部だった。彼は遺体を見て言った。
「こいつがあの?」
「ああ。でも結局間に合わなかった。」
「残念でしたね。」
木戸はかぶりを振る。
「遺体を運べ、急いで。」そう言い、遺体が落ちてきた建物の上空を見上げた。その日に限って綺麗な星空だった。
木戸はあの日のことを思い出していた。
つづきは未定ですby作者