好きな人がいる。本当に本当に好きな人がいる。かっこよくて、頭もよくて、スポーツもできる完璧な人。性格は、強がりだけど優しくて、私が『ありがとう』というと、少し照れながら『別にいいよ』といってくれる。そんな人。
私の思いが、あの人に伝わることはきっとない。
そのことを実感したのは今年のバレンタインデーだった。あの人は沢山のチョコレートやクッキーを持って学校から帰っていった。
あの人は完璧だから、私と同じ『好き』を持った人は沢山いて、私はその中の1人にすぎないことがいたいほどよくわかった。
私は、あの人にケーキをあげることすら出来なかった。
1ヶ月がたった、3月14日の卒業式の日、沢山の『好き』を持った人に告白されていた、あの人は、丁寧に『好きな人がいるから。』と断っていた。隣で笑っている友達が、私にそっと『秘密』を教えてくれた。
私は知っている。あの人の『好き』をもっている人を。私じゃない。私の隣でいつも笑っているあの子のことを。