ヤス#161
「どこだっけ…香織の家」
「東区よ。車で一時間くらいのところ」
「大将。純子さんをお願いします。俺、様子を見てきます。恭子…地図を書いてくれないか?」
「私もやっちゃんと一緒に行く!」
「まだ危ないよ。地図を書いてくれ」
「嫌だ!一緒に行く!」
「恭子」
「ヤス、娘を連れて行ってやってくれ…親友の安否が心配だろう」
「わかりました。恭子、行くぞ」
「うん!」
「ヤス、ウチの車を使えよ。表の車は誰のだ?」
「あ…いえ…」
「それは私が説明しておくから…ヤス…早く行きなさい」
純子がヤスと呼んだ事に、大将と恭子は同時に純子を見た。
「ん…?どうかしたの?二人とも…」
「行くぞ!恭子」
「あ、はい!やっちゃん」
ヤスは恭子の手を引くと玄関のドアを開けて飛び出した。
「きゃっ!」
「女将さん!無事でしたか!良かった。親分もご無事で…」
「何て事はないさ。それにしても、凄い嵐だったなぁ!街が無残な姿になってるぞ」
「はい!…すみません。ちょっと出かけてきます。純子さんも中にいますから…では」
「こら!どこに行くんだ。まだ安心は出来んぞ!大人しく…」
「すみません!大将に聞いて下さい。失礼します!来い!恭子」
「はい!」