ジリリリリ〜。
たいちはまだ目を覚まさない。
昨日は夜中まで友達たちと遊んでいた。
それから30分後、会社からたいちのケータイに電話が。
「吉岡〜。まさか今起きたの?」
「あっ!!うっ。やっべ。すんませんすぐいきます!」
たいちにはよくあることだ。
会社の人達も、またかみたいな感じで、あまり怒ろうとはしない。
たいちの仕事は自動車整備士だ。毎日オイルまみれ。そんなオイルは粉石鹸でないと落ちないほど頑固だ。
昼休みに同期の秋吉が、いつものように話しかけてくる。
「今週の土曜コンパすんだけど、来るだろ?」
「マジかよ!俺土曜バスケあるし!」
たいちは小学校の頃からバスケをはじめ、今も社会人バスケに週3で行っている。
「アホか!バスケなんか1回ぐらい休んでもよかろーに!相手ナースだぜ?あつくね?」
メンソールのタバコをふかしながら秋吉が誘ってくる。
正直、ナースは揺らぐ。ナース服で来ねーかな。
来ねーよ。
「どーすんの?」
秋吉が、いいとも見ながら聞いてきた。