「そのグラサン、壁に投げ付けて壊そうよ」
A子は真剣だ。
「かんべんしてくれ、いややわ!これ高いねんぞ」
俺も必死。
さっきまで、楽しく飲んでたのに、俺が失恋の話をしたばっかりに、こんな事になってしまった。
その辛い気持ちを物にぶつけて、スッキリしようとA子が言うのだ。
「もういいから、かんべんしてくれ」
俺はいつもの口癖をいつもの顔で言う。
A子はこの顔をするとすごく嬉しそうな目になる。
「アンタの事ずっと心配してて、ずっと好きなのはアタシだけなんだよ?」
「…それは、マジでかんしてくれ」
俺は口癖をいつもの顔で言う。
そういうと、A子は嬉しそうに、俺のグラサンを取りあげ、壁に投げ付けた。