私は先生のことが大好きでした。
今すぐ先生にとびついて、そのままだきしめられたいです。
でも、それは先生にとって迷惑な事だから、私はバカな頭で考えた、今できることをします。
さようなら。大好き。
「今日から卒業まで一年間、お前らの面倒見ることになった。春居 雄二(ハルイ ユウジ)だ」
私はその日、夜のバイトが長引いて、学校に遅刻して。
進級初日に先生に怒られた。
「高校生なら寝坊以外にいいわけ作っとけ」
「ごめん!もうしないから!」
「すみません、もうしません。だ!!今日の教室掃除お前一人でやれ」
最悪な担任に当たったって、思った。
私は特にクラスに馴染んでもいないから、一人で掃除しても誰も気にとめない。
先生のせいで不登校になりそうだったんだよ。
「…なんなの…。あの担任」
「なんだ。本当に一人でやってたのか?お前友達いないのか?」
教室の外から先生は声をかけてきた。
私はその冷たい一言につい泣いてしまって、先生困ってたね。
「お…!おい!神谷(カミヤ)!」
日が暮れるまで泣いた私を、先生はずっと見ててくれた。
「神谷…しほり…さん?」
神谷 志保里。
確かにそう読めるから、思わず涙をこぼして笑ってしまった。
「し……しおりです」
「ごめん。神谷、しおりさん。」
「…しおりでいいです」
「志保里(シオリ)って読むのか、生徒の名前くらい覚えなきゃな」
「先生は?」
「春居雄二だ、よろしく」
「ゆうじ」
「先生な」
「ゆうじ」
私に呼び捨てにされてた先生は顔を赤くして、子供みたいだった。