「未だによく理解出来てないんだけど」
自分の眉間にシワが寄っている事を、光は気が付いていない。
「このシステムは1990年にアメリカのマック・ハーバー博士が考案したもので、プログラムシステムの向上が目的で開発された」
「どうゆうこと?」
「簡単に言えば自分でシステムを見直して、改善し、発展させる機能を搭載したプログラミングデータだ」
「いい機能じゃない。私の頭にも欲しいわ」
ひかりは頭を人差し指で叩いてみせた。
「そのシステムをビジネスに応用しようとしたのが君のお父さんだ」
「なんだ、別になんの問題もなさそうじゃない」
「それが、そうじゃないんだ。このプログラムは三つのセクションで構成されている。本体となる行動・実行セクション、システムの改良を主な役割とする改善・発展セクション、そして間違った方向にシステムが働かないようにする監視・制御セクションだ。」
光は窓の外に雨が降り出した事に初めて気が付いた。
車が走り初めてから30分は経過しているだろう。
「かなりごちゃごちゃね」
「あぁ、同感だ。異変が起きたのは2005年11月半ばの事と聞いているが、第三セクション、つまり監視・制御セクションが異常行動を起こした」
「異常行動?」
「全く稼働しなくなったんだ」
「……何で?」
「そっれが未だに不明なんだよねぇ……」
ため息まじりの望らしからぬ発言に、その場にいた二人が自分の耳を疑った。
「……機械事態がイカれただけじゃないの?」
「言い忘れていたが、BDSに物理的実態はない」
「物理的に………どうゆうこと?」
「さっきいった通り、インターネットは巨大で強力な手足なんだよ。つまりインターネットの中に存在するプログラムなんだ」
「よく調べ上げたわね」
「そこで君のお父さんの登場だ。BDSを自由に利用していたんだが、今回の異常行動と同時期に、アメリカのマフィアとの麻薬交渉が発覚した」
「そう……」
「抗議しないのか?」
「私の家でも噂になっていて……大体把握してたわ……」
「……気分を害したならすまない。しかし今は君の助けが必要なんだ」