東京の真ん中から西に走る中央線だが、夜中になり三鷹を越え郊外に出ると、窓の外の風景も淋しくなり、闇の中に点々と街の光が見え、まるでこの世ではないような、切なささえ覚える。
そんなことを考えながら、ぼんやりと窓のすぐ下の線路を見ると、黒い影が電車と平行して地面すれすれを走っている。
よく見ると、巨大なナマズのようだが、ウロコからして竜だ。黒い竜だ。
ガタンガタンと揺れるたびに、乗客が窓から竜の手で掴み出され、食われている。
今度は俺の番だ。立って逃げよう。
立ち上がったら、吊り革に頭が当たって、目が覚めた。
夢か?夢で良かったのか…