翼 4

 2007-09-30投稿
閲覧数[204] 良い投票[0] 悪い投票[0]

トイレで顔を洗ってから教室に戻ると、私の席は無かった。

「あなたどこのクラス?間違ってるんじゃない?」

男子は気まずそうに私を見たり、里見さんを見たりしている。先生が入ってきた。

「授業始め…、神谷?」

先生は突っ立ってる私を信じられないって目で見てた。

「先生…」

「はい先生。昨日神谷さんと帰ったってホントですか?」

里見さんが声高に言う。

クラス中がざわつく。

「里見さん?でしたか、帰りましたけど。ちょっと待った。神谷さんの机と椅子は?」

クラス中のざわつきが収まらない。

「生徒との不純異性行為ですね」

里見さんの周りの女子も先生を睨む。

「え?いや、家まで送っただけなんだけど、ダメ?」

「口ではなんとでも言えます。でも彼女が居残り掃除させられたと」

「それは、神谷さんが遅刻したから罰として」

「信用できません。先生は神谷さんの家まで何をされに行かれたのですか?」

先生は里見さんを不審そうに見たあと、私を見た。

「送った…だけです」

「理由になってないですよね。送らなければならないくらい遅くまで掃除を?」

そうだ。
先生との話が弾んで、ついつい居残ってしまって。

「それは…すみませんでした。こっちの不手際で…」

私のせいで先生が頭を下げた。昨日寝坊なんかしなければ、こんな事に。

「先生ご存知?昨日は神谷さん夜からお仕事があったのよ?ね。神谷さん」

私は知らずに涙を流していた。クラス中が静まる。

「し、知りません。先生…私」
「里見さん授業が終わってから聞きます」

「逃げますか先生?良いですよ、この事はクラスの中の秘密にしましょう」

「里見さん、いい加減にして下さい。」

「せ、せん…せ。ごめんなさい、私。私、風俗店でバイトしてます!」

クラスの誰も喋らなかった。

しばらくして里見さんが沈黙を破った。

「残念ですが、彼女は退学です先生」



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 輪 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ