校長室はすごいタバコ臭くてダメだった。
そこに行くまでの廊下で私は先生の手を初めて握れた。
「ごめんなさい、先生。黙ってました。ごめんなさい」
無言で私は先生の手にひかれていった。
「前代未聞だよ。うちの学校にそんなことをしてる生徒が…」
「退学だけは勘弁してやって下さい。お願いします。」
「校長先生。私、退学でいいです」
「神谷お前何言ってんだよ」
そう言って先生は私の頭を小突いた。
「っ痛」
校長先生はやりとりを無視して先生に言った。
「彼女はこう言ってるが」
「明日まで時間を下さい。今、彼女は冷静さを欠いています」
私は翌日まで時間をもらった。
ここまで私はバカだったのか。
夜になって、私は仕事を休んで先生の家に来た。
私の家には絶対呼べない。
あの両親には会わせられない。