「…ヨウスケ!ホワァッザマター?」いきなりの英語発言に、意識が現実に戻る。
「あー…えー…寝てました。」授業に関することでなければ日本語で返答するのが、俺のささやかなプライドであった。
「ドンスリープ、ヨウスケ。」そう言うと、国籍不明の外人教師は前の黒板に戻っていった。
日本語解ってんじゃねーか。心の中でツッコミを入れると、あくびを一つして窓の外の景色を見る。
残念ながら今日もいい天気だった。天気のいい日はアイツのテンションがウザったいんだよな。
そう思ってふと窓の下を見ると…いた、アイツが。表情なんか見なくてもわかる。あいつ今テンションMAXだ。かかわりたくないけど、明らかに顔はこっちの方むいてる。
あ〜ぁ、しかもなんだよあの看板。ベニヤ板張り合わせて無駄に本格的じゃんか。何て書いてあるかわからんが、まず間違いなくろくでもないことだろう。こういう時は無視だ、無視。
そうやって顔を今一度黒板へと戻す頃には、なぜ同じ授業を取っているはずのアイツが教室ではなく窓の外にいるのか?という些細な疑問はとうの昔に消えていた。
さて、話は戻るが、俺がなぜ英語の授業中に「真実の愛」などという赤面思想にふけっていたかというと、それには深〜い訳があった。
それは忘れもしない4月1日の入学式。不幸にも偶然なアイツとの出会いの日に関係していた。