ヤス#163
辺りに、まばらだが明かりが灯り出している。電力会社による復旧工事が不眠不休で始まったのだろう。
人間だって弱くはない。ヤスは襲ってくる魔物達と戦う決意を新たにした。
ヤス達は公園に立ててある地図で公民館を探した。香織達が避難しているとすればそこにいるはずだ。
「恭子、あれだろう。公民館だ」
「香織達がいますように…」
公民館は人で溢れていた。入り切れないのだろう。若者たちが表でたむろしている。ドラム缶で火をたいていた。二人は公民館に入ると香織を探した。人が蠢いている。まさしく、難民キャンプ。小さな子が大声で泣いていた。
「いるか?」
「うん…いないのかな…香織…どこ?」
突然、後ろから声をかけられた。
「恭子?…うあっ!恭子ね!来てくれたの?あっ!やっちゃん!」
「うん!香織、大丈夫だったのね!お父さんとお母さんは?詩織ちゃんは?」
「うん!みんな大丈夫よ。奥にいる」
「良かったぁ!生きてて良かったぁ!」
二人は泣きながら抱き合った。
ヤスはホッとした。どうやら香織の家族は無事だったようだ。