翁は麻里が祖母の家から去っていくのを見届けた後にその家を訪ねた。
「楓さん、儂じゃ、政義じゃ」
「政義さんかい?今開けるよ」
麻里の祖母である楓はドアを開け、政義と名乗った翁を家の中へ入れ、先程と同じソファーに座り、政義は麻里と同じ椅子に座った。
「さっき麻里ちゃんが泣いて出て来たのは何でじゃ?」
楓は先程の麻里との会話を全て話した。
「麻里ちゃんは外へ出たいと言ったのか」
「そうさ」
「でも仕方が無いのう。なにせ麻里ちゃんはもう14歳なんじゃから」
「14歳か…私の娘は逃れられなかった…」
「じゃが孫は逃れられた。儂らの新たな希望じゃ」