私は一人教室でたそがれていた。
……フラれた。
3年間付き合っていた彼に「別れよう」と一方的に言われ、結局別れる事になった。
付き合う期間が日単位の私は、結構長く続いていた。
ふと、窓の外に彼の姿が見えた。(私の席は窓側の一番後ろ。)
私の次の子。
校門のところに、髪を結んだ小柄な可愛い女の子が立っていた。そこに彼が駆け寄り、腕を組んで仲良く帰って行く姿がはっきり見えた。
何故だろう。
不思議と哀しさは無かった。
校門に立っていた女の子は私より可愛いし、小柄だし、彼ともお似合いだし………
涙が頬を伝った。
哀しさは無いのに、辛さも無いのに、何故だろう 涙が沢山溢れてくる。
別にショックでもない。
なのに………
ガラッ
突然教室の引き戸が開き、一人の男が現れた。
「あれ 牧野?」
「優………」
幼なじみの優だった。
考える暇もなく、優にしがみつき、泣いていた。
「牧野?」
優は驚いていたが、すぐに私を抱きしめてくれた。優ってこんなに、温かかったっけ?優ってこんなに、優しかったっけ?優ってこんなに、おっきかったっけ?
頭の中は優で一杯だった。
……………………………………
「大丈夫?」
「………うん」
「牧野」
帰る準備をしていたら、優がそばに来た。
「ん?」
優は突然私を抱きしめて、こう言った。
「俺と付き合ってくれ」
「………え………」