「橋本だが、まさか我々はみんな同じ境遇に立たされているんじゃないか？」
「木村ですが、私も一緒です。なかなか人間関係も難しくて」
この瞬間、一同はここがどんな場所なのかを悟った。
そう、我々は選ばれた者ではなく、選ばれなかった者なのだ。
声は選ばれる快感を味わえとでも言うのだろうか。
「佐野ですが、そろそろ疑い合いをしませんか？」
「橋本だが、もう誰かに疑惑を持っているのかい？」
「ええ。あなたにね。」
空気は凍りついた。
「なぜそう思う？」
橋本は投げかけた。
「あまりにもこの集団と違うからです。人間関係に疎い者の集まりにしてはうまく立ち回ってますよね。」
「ならば叫べばいい。帰れなくなるがな。」
暫くしてこの男が口を開いた。
「大黒ですが、疑惑を持つのは早すぎますよ。それより、幻想や声がボロを出さないかよく聞くことです。」
白田未央はこの大黒という男に少なからず好感を持った。不完全ながらも彼は人を愛すことが苦手でないようだ。
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