翌日・東京都Z区私立k学院―\r
夏休みにも関わらず、同校は物々しい雰囲気に包まれていた。
近隣の穏健派のほぼ全てがここで臨時の集会を開き、各校生徒会の主要メンバーや、彼らの引き連れた護衛達でごった返していたからだ。
その数はゆうに300名を越えていた―\r
その目的は、つい数日前の一条フサエ達の惨殺事件に代表される、梅城ケンヤ率いる第三中学校生徒会・引いては改革派勢力の強大化・過激化にあるのは言うまでもない。
同学院講堂―\r
『見ての通り、梅城会長は我々の理想に背き、逆にイジメへの対決路線を益々強め、他の改革派を糾合しようとしています』
演壇に立ったP大学附属中学校会長・奈良木レイカはそう状況を説明した。
『このままでは梅城会長の体制は独裁にまで行き着き、容赦無き処刑・粛清の嵐が吹き荒れるでしょう―我々穏健派は断固として、この動きに対処せねばなりません』
だが、この激への反応は、とてつもなく不甲斐ない物だった。
『対処って行ってもねえ〜梅城会長は手強いよ?』
『あれだけの風紀委員を揃えるのは難しいよ?逆にこちらが狙われちゃうよ』
『まだはっきりと、向こうが侵略するって意思表示して来た分けでもなし。何焦っちゃってんの?』
『向こうが武装するからこちらも武装して対抗せよ―これじゃ僕達の理想に反するよ、うん』
階段式の聴講席に陣取る同輩達からは、熱意も覚悟も信念も感じれなかった。
奈良木レイカは声を張り上げた。
『今から騙しますなんて言う詐欺師がいますか?これから侵略しますなんて言う侵略者がいますか?梅城会長は口では我々との融和を図ると触れながら、実際は第一中学校始め幾つもの他校を傘下に収め、イジメ撲滅路線を強要してますよ!そこには言論の自由もない、思想も主張出来ない!こんな危険な動きが今、広がってるんです!』
だがそれは、熱がない所かあからさまに冷淡な返答に報われるのみだった。