多数の人間から責められるのはどんな時でも辛いものだ。
ああ、まさかここにいるのは自分だけなんじゃないだろうか。
一同は再び沈黙してしまった。
そこでふいに橋本が聞いた。
「大黒さんは誰だと思っているんだ?」
「誰とでも思ってませんよ」
「それではただの偽善者だ」
「僕は弁護士です。それに、むやみに疑惑を持ってもしょうがないと言ったはずです。」
「もしかしたらこの2人が幻想と声なんじゃないですか?」
佐野が押した。
「違いますよ」
知らないような声がした。いや、元木の声か。
「僕は大黒さんに賛同します」
「・・・彼も我々を信じているようだ。」
人見知りの元木の声は話しの流れを逆流させた。
「だいたい、夢だと思うなら疑う必要はないでしょう。」
大黒がすべてを言い切ったようだった。