「だから店番ていう感覚はないんです」
「自分の城ですもんね」
「はい」
「あと9個ほどアクセサリを選んできます」
「ありがとうございます」
500円の商品を適当に選んでレジに戻り、会計を済ませた。
それからというもの、僕は仕事が休みになるたびにあのアクセサリショップに通った。店長はいつも笑顔で迎えてくれた。閑散とした店の奥で一人健気に笑顔で佇んでいる彼女を見ると胸が強く締め付けられた。
3ヶ月が過ぎた頃だった。僕は彼女に恋心を抱いている事に気付き、今度休みが来たら彼女に告白しようと決めた。
次の休みがやってきて、僕は心を高鳴らせてアメリカ村へ向かった。しかし、彼女の店は閉まっていた。隣の古着屋の店員に彼女の店がどうなったのかを尋ねた。僕は愕然とした。彼女は死んでしまったのだ。
「あなた、もしかして城丘祐司さん?」
「そうです!」
「店長からお手紙を預かってるんです」
「見せて下さい!」
店員は店の奥へ行って手紙を持ってきてくれた。僕はその場で封を解き、手紙を読み始めた。
「祐司さん、毎週のように私の店に来てくれて有り難う。誰も来てくれなかったのでとても嬉しかった。いつの間にか私は祐司さんの事をお客さんとは見れなくなっていた。あなたに恋をしていたの。でも、告白できなかった。私はもうすぐ祐司さんとお別れしないといけないから。祐司さん、生まれ変わったらまた会いましょうね」
僕はその場で泣き崩れてしまった。涙が枯れ果てた後、僕は誓った。彼女と必ず再会しようと。