冬になると夜空の星が他の季節と違って見えるのはあの星が一際輝いて見えるからだろう
「オリオン座は今日も綺麗だな」
ずっと好きだったあいつと別れてから毎年こんな風にオリオン座を見ているといつも考えてしまう
「どうして別れてしまったのだろう」
今更どうにもならないのにとわかっているのになんでそう思ってしまうのだろう
それにしても今日のオリオン座は見ていてなぜだか不思議な気持ちになるので何となく写メにしようとカメラを構えた
「カシャッ」
綺麗に写ったので登録ボタンを押すと同時に画面が真っ暗になった
「あれっ嘘だろ」
電池アイコンは三本だし消える筈がないまさか壊れた?
家に帰って充電器を挿してもやっぱり反応がない から壊れてしまったのだろう
「仕方ないから明日携帯ショップに行くか」
携帯ショップに行き事情を説明すると機種変更をするしかないと言われたけれど携帯は最新モデルだったので同じ携帯では金が足りない…
「仕方ない一番安いのでお願いします」
出てきた携帯は昔使っていたのと同じモデルだった
あの頃の思い出が蘇りそうで気が引けるけど安さには敵わない…
手続きを済ませたけれどメモリーは一件もない全部壊れた携帯にしか入ってないのだ
「マジかよまた皆に聞かなきゃ駄目なのか」
だけど唯一知っているアドレスがある
当時同じ携帯で何度もメールしたけれど今は届くわけがないあのアドレス
「懐かしついでに送ってみるか届くわけないし」
ベタな本文で文字を打っていく昔の携帯だから使い方はしっかり覚えている
「いまなにしてるの?」
送信ボタンを押して紙ヒコーキが飛んでいく懐かしい画面を見つめる
すぐにアドレスが違いますという内容の紙ヒコーキが飛んでくるはずだ…
なのにいつまで経っても紙ヒコーキが来ない…
「おかしいななんか間違えたか?」
と思っているとやっと紙ヒコーキが飛んできた
「久しぶり元気してた?」
ありえない返事がやって来て不思議なメールのやり取りがこうして始まった