ドナーは見つからず、君は死んでしまった…。
君が死んでから僕は生ける屍だ。
君は今までの僕の人生の中で一番の宝物だっから。
君と出逢ってからは腐っていた人生も一変した。
君のおかげで僕は今まで生きてこれた。
君を失ったから、また人生が腐っていくよ…。
君と出逢う前よりもっとひどく…。
今までの僕の人生が頭の中を通過していく。
死すら考えた少年時代。
いじめから始まり、カツアゲ、脅迫。
不登校になり、引きこもる日々。
腐っている…。
でもこんな日々のことなど忘れていた。
思い出す暇さえなかった。
君の事以外何も考えてなかったから。
楽しかった君との日々。
君の笑顔一つ一つが目に浮かんでいくよ。
君が死ぬ前に僕にくれた笑顔も、鮮明に…。
僕がさっきしたことは後悔していない。
やっぱり僕は君なしでは生きていけない。
それにしてもこんなものなんだ。
死ぬ前の走馬燈って…。
人生の最初から最後までが、止まることなく流れていく。
君も死ぬ前に見たのかな?
君にとって、僕との日々は君の人生で一番楽しいものだった?
君が死ぬ間際に笑顔で残した言葉…。
「来世でも一緒にいようね。」
この言葉を胸に閉まって、もう僕も逝くよ。
そう君に言い聞かせるようにつぶやき、まぶたを閉じた…。
最後に見たものは、手に握りしめたドナーカードだった。