林檎は苦しくて、抵抗を止めた。そして怖かった男のキスから入ってくる息を吸った。
しばらくすると苦しかったのが治まった。
それが分ると男は林檎から離れた。
「治まって良かったな。」
そう言って男はホッとした顔をした。
林檎が苦しくて息ができなかったのは、過呼吸を起こしからだった。
だから男の息、つまり二酸化炭素をすったことによって治まったのだ。
だけど林檎はこの男に引っ掛かった。だから男に聞いてみた。
「どうして私が過呼吸って分ったの?」
もうその時にはこの男を怖いと思っていなかった。
それよりも不思議だった。キスしてきたときに言った、あの言葉。「俺の息を吸え。」
林檎の病気を知った風な言葉だった。
男は微笑んで答えた。
「君、よくここに来て泣いたりしてただろ。それで決って過呼吸起こして、袋使って息してただろ。
実は俺もよくここにくるんだよ。だからその行動を見てたから知ってたの。
そういえば今日は袋使ってなかったけどどうしたの?
あのままじゃ、気絶してたよ。」