処刑生徒会長第三話・14

まっかつ  2007-10-05投稿
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夕刻になり、校庭を帰り行く参加者達の姿を生徒会長室から見下ろしながら、

『全く当てにならない連中ですなあ』

霧島ユウタは皮肉を言った。

『あれで本当に、梅城会長に対抗するつもりがあるのかどうか―むしろ彼らこそ穏健派の名を汚す真の元凶かも知れませんよ』

差し込む夕日を浴びながら、九重モエはたしなめた。

『そんは風に言ってはなりません―我々はまだ、第三中学校と全面的に争う訳ではないのですから』

『ですが、その梅城会長は本当に外交や説得に応じてくれますかね?』

霧島ユウタの推理力は鋭かった。

『彼がもし、原理主義者ならば決して信条を曲げますまい』

確かに、梅城ケンヤは己の思想にどこまでも忠実だ。

一条フサエ達の殺害も、その延長線上の行為だと考えれば、合点がいく。

もし彼が現実主義者ならば、九重モエの介入の段階でなにがしかの妥協を図った筈だ。

その辺り、九重モエの聡明さをもってしても、まだ読み切れないでいたのだ。

『私も彼とは何回か接触しましたが―彼の真意がどこにあるのか、その全てを掴んでいないのは事実です』

反面、九重モエにはいくつかの点で、絶対的な確信を抱いていた。

『ですが、彼は戦略家であり、目的のためならばかなり巧妙な陰謀を巡らせる人物です―今、我々が対決路線を取れば、恐らく彼は容赦のない反撃の口実として、それを利用するでしょう』

そうだ。

梅城ケンヤは手段を選ばない―\r

『ですが、今の彼は一条フサエ事件で多少政治力を落としています。ゆくゆくは我々と対立するにしても、しばらくは動けません』

仮に偽りでも、こちらと融和しなければならない筈だ。

万が一、危険な原理主義者であったとしても、梅城ケンヤは馬鹿ではない。

権力を保ち・振るい・強化するためには一般生徒=有権者達の支持が必要な事くらい良く知っている。

『彼が外交手段を取ってくると?』

霧島は意外そうな顔を見せた。

何となくそれは、梅城ケンヤらしくなく思えた。

九重モエはそれに、やや皮肉気な笑顔で答えた。

『彼はテロリストじゃないわ?自殺した従姉妹の復讐だけなら一人でも出来る―公立校に入って生徒会長になるなんてむしろ遠回りよ?』



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