「今日もかっこいいね、あたし超好きなんだからッ」
女なんてものは、かっこいい男ならなんでもいいんだな。
馬鹿ばっかり。
「ねぇ、聞いてるのあたしの気持ち!」
いけねぇ、仕事中だったな、久々にヤツの事を思い出してた。
「ねぇ、いつになったらあたしの気持ちに答えてくれるの?」
いつだろうな…
「もぉかえる!!」
かえればいいじゃん…
「もぉ一生来ないからね!」
…。
どーせ嫌がったって、冷たくあしらったって来るくせに。
まったく、ホスト狂いっていうのは終わってんな。
この女、キャバ嬢。
「また帰っちゃいましたね、アイリちゃん」
内勤の田中が言った。
ほっとけよ、また来るだろ
俺はいつもと同じ台詞を言う。
俺がこの業界に入って五年。ちょろい世界だ。
そうだよ、俺は弟の名前で売れているようなものだ。
ホストになる奴ってのは、代表やら幹部やらを目指すらしい。が、俺はそんなもんはやらない。
めんどくさいからな。
あと、客に営業を掛けたりもしない。
どーせまた来るからな。
努力なんてした事が無い。
「曹丕さん、7番テーブルのお客さまご指名です」