「……うや……そうや! 朱斐のことなんか好きやない! 女としてみてない……オレが怒ってるんはお前にや!」
「───……」
「なんで裏切った? お前言ったやん? 朱斐を手に入れろって大事な駒やって……オレらは……同じ……だった」
白藍の顔が歪み、拳の力も弱まる。
「オレら……二人だけやった。他はみんな駒でしか無かった……なのにお前は裏切った」
黄藍は黙ったまま、白藍の悲痛な叫びを聞き続ける。
「……朱斐が好きなんか? オレを……置いて……一人で……行くんか?」
ずっとずっと二人だった。
汚い大人の中で生きてきた。
有益無益・嘘偽り・冷酷無慈悲。
綺麗なものなんか無い世界。
将来のための英才教育、異常な日々を送った。
息苦しく、心が死んでいくのが分かった……
でも二人だったから
一人じゃなかったから───今まで
「なん…で……お前やねん。なんでオレを裏切るやつが……よりによって……お前なんや……」
ガクッと床に崩れ落ちる白藍を無表情で見下ろす黄藍。
そして──
「いつまでも一緒にはいれない」
そう冷たく言い放った。