二人乗り

とむ  2007-10-06投稿
閲覧数[374] 良い投票[0] 悪い投票[0]

……ミーンミンミン……

「今日もあちぃな。」

このおれの問い掛けに8人いる内の一人が答える。

「今夏休みだぞ?」

「いや、わかってるけどさ」
こいつは部活の中でも一番仲のいい真田だ。野球もうまく顔もいい。おまけに性格までいいという、かなりずるい奴だ。


キキーーッ!

この壊れかけの自転車のブレーキ音は…

「おーっす!いや〜暑いね〜!」

……我らがエース山下の登場だ。
朝はあまりテンションの上がらないおれからすると、こいつの性格がうらやましい。
「早く着替えろって。」

「わりぃわりぃ!先に行ってていいよ!」

「はいよ。」

また一日、辛く暑い…しかし、とてつもなく熱い練習が始まった。



…ミーンミンミンミーン…
「どわー!あちーーー!」

部室の前のコンクリートに寝転がる。冷たくて気持ちがいい。この時間にはテンションの上がったおれの体から一気に力が抜ける。


「山下くん!」

…?
上の方から横に寝ている山下に向かって声がした。

「お疲れさま☆午後もがんばってね☆」

どうやらバレー部のマネージャーらしい。
山下もいちおエースだからそれなりに人気がある。

「だれ?」

「ん?おまえ同じクラスだろ?」

「えっ?」

おれの耳にはさっきの、疲れた体に心地のいい声がしばらく残っていた…

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 とむ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ