花火?

 2007-10-06投稿
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急いで病院に向かった。
救急車の中で
俺はずっと沙代子の手を握ってた。
「…史…規…。」
沙代子が喋った。
「沙代子、俺やッ!!」
「史…規…」
いつもからは考えられへんほどの
か細い声で俺の名前を呼ぶ。

病院に着いた時には
もう息がなかった。
医者も懸命に頑張ったが
沙代子は死んだ。

俺は廊下で放心状態やった。
まだ受け入れられへん。
きっと沙代子なら
突然ベッドから起き上がって
「史規騙されたあ♪♪」
とか言うはずや。

ありえへん。
沙代子が隣りにおらへんことが。
これからもずっと一緒におって
沙代子を幸せにするつもりやったのに...

「史規クン。」
沙代子の両親が病院から出てきた。
「すみませんでした。」
俺は頭を下げた。
沙代子を守れへんかった。
ほんまに愛してる女一人さえも
俺は守れへんかった。

「史規クンのせいちゃうから。
頭上げてや。」
お母さんはやさしい声で俺にそう言うてくれた。
「最期に会えたのが史規クンで、沙代子はきっと喜んでるわ。」
「…はい。」

「史規クン。沙代子に会うてくれるか?」
黙っていたお父さんが口を開いた。
「もちろんです。」
「沙代子の近くに机がある。
そこに置いてある物は沙代子から君への物や。
もろぉてくれ。」
そう言うてお父さんは足早に行った。

部屋に入ると
沙代子はほんまに寝とるみたいやった。
俺が名前を呼んだら、今にも起きそうな感じや。

お父さんが言うてたように、沙代子の近くに机があった。
その上には
ぐちゃぐちゃになった箱と
ぐちゃぐちゃになった手紙が置いてある。

箱を開けると
シルバーリングが入っとった。
リングの内側には
『I love you』と彫ってある。

横の手紙を開けた。
『Dear 史規
お誕生日おめでとお♪♪
これからもずっと史規の誕生日を祝いたいから
ずっと一緒におってね。
リングはおそろやから、絶ッ対つけてねッ!!
またあたしの誕生日に
花火見に連れてってね☆

史規大好きやで?
世界で一番愛してます
From沙代子』

「…沙代子…」
何年ぶりやろ??
俺は声を出して泣いた。

俺は沙代子に何も伝えてない。
いつも茶化してばっかやったから...

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