少女1

おさむ  2007-10-06投稿
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『私の気持ちなんてわかるわけない!』


少女は玄関を飛び出した。

靴をつっかけ。


階段を走りおりた。



二番目に近い公園のブランコまで走った。




幼い頃は良く日が沈むまで母といた公園。



一番近い公園よりも


夕日に照らされた二人の長い陰をたくさん見ながら帰れるから


好きだった。



しばらくブランコを漕ぐと


その単調な動きにすぐ飽きてしまった。


ブランコをとめ、顔をあげ、気付いた。



『何かがない』



無かったのは      


ブランコを勢い良く蹴りあげるとき足に触れそうになる木だった。


その木が生い茂っていたはずの場所には



はかない姿をした



切り株だけが残っていた



母親に

『見てみて。もうすぐでとどきそう』


とはしゃいでいた木は



不恰好に細い弦の巻き付いて

精気がないながらも


凛とした風貌と


しっかりとした根を地球にはっていた。



少女はまだ生きる木に


手を合わせ 頭をさげた。

            
つづく。



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