「龍華…ちょっと…」
武将髭の男がそう言い掛けたその時、龍華はある事に気が付いた。
「大丈夫か?
怪我してるぞ。」
「え…!?」
麗奈の二の腕の上の辺りのドレスが切れて白い肌には痛々しい傷が付いている。
麗奈は今まで身体が興奮状態にあったせいなのか、気が付つかなかったらしい。
「見せて見ろ。
治してやるよ。」
「えぇッ…!?
良いんですか…」
龍華はしゃがみ込み、麗奈の腕を左手で優しく握り上げた。
「貴様…!!むすッ……」
メタボ天使は「貴様娘に触るな。」とでも言おうとしたのかもしれないがエルファの手で口を塞がれた。
「黙って見てて下さい。
治療の邪魔ですよ?」
エルファはニッコリとした笑みを浮かべたがメタボ天使はエルファの笑顔を見て真っ青になった。
『この若僧…もしやシャルル家の…』
真っ青なメタボ天使を無視して龍華は治療を始めた。