ふと見上げると、そこには私の好きな人が立っていた。
えっ?まじで?
あっこんな近くに…
「なに下らねえこといってんだよっ!!」
「べっ別に私は…」
ユズキさんは気まずそうに続けた。
「本当のこといっただけだもん…」
「あっあのっ!」
私は思わず、声をかけてしまった。
これまで抑えていた気持ちを吐き出すかのように…
「私がしつこく聞いちゃったからいけないんです。」
「ごめんなさい!」
これまでこんなに素直に人に謝ったことなんてないのに、謝ってしまった…
「なんだ?おまえ誰だよっ!?」
「あっあたしはっ!!」
言いかけたその時、
「めんどくせえから帰るわ、オレ。」
と、その場を後にする彼。
「勝手にすれば!」
ユズキさんは彼の去りゆく背中に叫んだ。