沙代子のお墓は花火会場の近くにある。
花火は沙代子の横で見たかったから、ここで見るつもりやった。
俺は花屋であえて菊などは選ばなかった。
だって今日は沙代子の誕生日やから。
「沙代子、誕生日おめでとお。」
お墓の前で話しかけるなんて
俺らしくないかもな。
「なぁ沙代子。
お前がおらんくなってもう一年経ったんやで。
この一年ほんま長かった。
俺な、沙代子に伝えたかったコトいっぱいあんねん。
せやけど伝えてへんコトだらけや。」
ヒュー...パーン...
花火が始まった。
「綺麗やなあ。」
あまりにも綺麗で呟いた。